断熱材のハナシ。グラスウール編 - オールハウジング|高崎市で注文住宅を建てられる工務店

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2025/01/13

断熱材のハナシ。グラスウール編

#住宅知識 

「高気密・高断熱」という言葉が当たり前になってきましたが、同時に断熱材として何を使っているのか?どの断熱材を選ぶべきなのか?を気にされる方が多くなったと感じます。
ユーチューブやインスタを見てみると「〇〇が最強の断熱材!」「〇〇はダメ!!」などの過激な言葉を使った内容の情報も多く流れています。
同時に間違っていたり、その会社さんが使っているものがとてつもなく良いものと思わせるよう、他の断熱材のデメリットだけをピックアップしているのもあります。
そこで何回かに分けて代表的な断熱材のメリット・デメリットと注意点と巷で言われていることが本当なのか。お伝えします。今回は「グラスウール」編です。

グラスウールとは?

グラスウールはリサイクルガラスを主原料としたもので、ガラスなどを溶かし綿状に細かく線維化したものです。見た目が祭りで見かける綿あめとよく似ていますが作り方も似ているそうです。
細かく絡み合った繊維の間に空気を閉じ込めた部屋を作り、この空気の層が断熱性能を発揮します。通常のグラスウールと高性能グラスウール等がありますが、高性能になるとこの空気の層がより細かくなり
空気を動かないように固定するので通常の物よりも高い断熱性能になります。
調査によると国内の断熱材出荷シェア率が56%を誇ります。(2位の硬質ウレタンフォームが14%なので圧倒的な数字です)
同じ無機繊維系断熱材のロックウールが9%のシェア率ですのでグラスウールがどれだけ選ばれているかが分かるかと思います。

参考:経済産業省 総合資源エネルギー調査会

グラスウールが選ばれる理由

・他の断熱材と比べて低コストで導入できる高いコストパフォーマンス
・ガラスを主原料とし「不燃材料」であるため、燃えにくく延焼・類焼を防ぐ
・吸湿性を持たない無機質材料であるため素材自体が湿気を吸うことはない
・シロアリの食害被害を受けずらい
・20年経っても断熱性能が変わらない実験結果もある高い耐久性
・吸音効果が高く、住まいの騒音をカットできる

他にも環境に優しいなど様々な理由がありますが、他のブログでも同じような内容が書かれているのでこちらでは詳しい内容は省略します。
次はグラスウールについて聞かれることやお客様から直接聞かれて驚いた内容もありましたのでお伝えします。

内部結露が起きてグラスウールはカビるからやめた方が良いと言われた・・・

「グラスウール カビ」と調べるとショッキングな画像が出てきます。良く誤解されるのですが選ばれる理由でも記載した通り、グラスウールは主原料がガラスの無機質材料なのでグラスウールが湿気を吸うことはありません。
画像のようなカビはグラスウールに埃などの汚れが付着してその埃を栄養源として湿度(60%~80%以上)と適度な温度(20~30℃)に保温された環境でカビが発生しています。
これを防ぐにはまずグラスウールを丁寧に正しい施工をすることが1番重要です。隙間が空いてもダメ。無理やり押し込めてもダメ。グラスウールメーカーが定めている施工マニュアル通り100%の力が発揮できるように施工しなければいけません。隙間ができると部屋や外部の空気が壁の中に侵入し気流が起きて埃が付着し、カビになる可能性があります。

参考:旭ファイバーグラス 施工マニュアル

グラスウールは断熱性能が低い?

グラスウールの性能を悪く言う営業マンは熱伝導率の比較をすることが多いようです。確かに色々な断熱材を比べてみるとグラスウールの熱伝導率は優れておらず、いじめられてしまうのも納得です。
断熱性能は「素材の性能×厚み」です。高価で素材の性能が高いものを選んでも十分な厚みがなければ、安いけれど分厚く施工した断熱材に負けることもあります。
よくネットでも書かれているグラスウールの比較は密度や厚みが書いていないことも多いです。16K、24Kなど様々ありますがこれは密度を表していて、数字が大きくなれば密度が高く閉じ込められる空気の層も細かくなり、断熱性能が上がります。高性能グラスウールは寒さの厳しい北海道でも積極的に使われていて活躍しています。

グラスウールは時間が経つと落ちてしまいます

まだ高気密高断熱という言葉が普及していない頃からずっとグラスウールは活躍していました。昔から使われていたため、ずさんな工事にも使われていた過去があります。その時は大工さんも断熱材の知識が薄く、「壁の中なんて完成しちゃえば見えないし、とりあえず入れておけばいいだろう!」と施工もされてきたので内部結露をしてきた経験が他の断熱材よりも圧倒的に多いです。内部結露が起きて断熱材内に大量の水が溜まりずり落ちてしまったという事例もあるようですが、現在は「気流止め」など含めた正しい施工を行えば落ちてしまうことはほぼありません。

グラスウールは燃えるから危ないです

理科のような話になってしまいますが、燃焼の3要素は「可燃物」「酸素」「点加元」です。このどれか1つが欠ければ燃焼は起こりません。
グラスウールは不燃材料の為、燃焼は起こりませんが、周りの木材はもちろん燃えます。それは何を使っていても同じで断熱材は火事を防ぐものではありません。
他の断熱材でライターなどの火を当てて燃えないという実験を現場でしていることもありますが、火事の時は1000℃を超えることもありますので全く比較になりません。
グラスウールは燃えて他の断熱材は燃えないということはありませんのでご注意ください。

まとめ

いかがでしたか?今回は誤解されやすいグラスウールについてまとめて解説しました。
正しい施工を行えば断熱性能は担保され、コスパ良く暖かいお家を作れる優秀な断熱材です。
皆さんは大量の情報に踊らされず、正しい情報を取捨選択してくださいね。